2010年5月15日土曜日

稚内から新千歳へ

2009年5月2日
「来ちゃった。稚内。」
最北の街、稚内に到着。 いや、いや、学生時代に来て以来31年ぶり。
北海道大好き!!ここ数年、毎年飛行機に自転車を乗せ、札幌2泊3日の旅行をしてきました。しかし、札幌市内と、新千歳~札幌間のサイクリングに飽きてしまい、「どうせなら、いっちゃん北の稚内から走ったろ。」と、稚内に来た訳です。
宿泊は全部ユースホステルを利用。なぜって?安いからですけれど・・・。
稚内は風が強いのでびっくり。とにかくすごい風です。
空港で自転車を組立てる際に、自転車は倒れるわ、作業用に下に敷いたタオルは飛んでくわ、それを追っかけて走り回るわ、で自転車を組立て出発するまでに30分以上かかってしまいました。
稚内空港前の道
一面の笹原で木が生えていません。道の先は海です。




稚内ユースホステルに着いたのは、18時過ぎ。
31年ぶりでは、まず、場所は全然覚えていません。
建物は何となく覚えているような気がします。懐かしいというには余りに月日が流れすぎました。
多くのユースが廃業するなかで、今も残っている事に感謝です。
一旦、ユースで受け付けをしてから、大手のスーパーマーケットとしては最北の「西條百貨店」に行き、夕食用にお寿司、朝ごはん用にパン、他に飲み物、お菓子を購入。「西條百貨店」は、広くて綺麗なお店です。豊富で、安い食材が沢山。安いお店、だ~い好き。

2009年5月3日
稚内ユースホステルを朝6時に出発。目的地の羽幌までは130kmあるため早めに出る予定でしたが、一晩中、風がガタガタと窓を揺らしていたのでゆっくり寝られません。目覚まし無しでも朝5時には服も着替えてスタンバイOKでした。「寝不足じゃ~。」

稚内市内から、日本海へ下る道。







きつい上り坂の後には天国の下りが待っている・・・はず。しかし、人生そう甘くない。向かい風が強く、漕がなければ前に進まない。
右端の黄色い交通安全の旗のなびき具合でご察しください。

抜海までの道
抜海という数軒の家がある所へ行く途中の、最初の休憩地点で稚内方面を撮りました。






抜海までは歩道があり安全の為に歩道を走行しました。
歩道なのに歩いてる人は一人もいません。

息を切らして、1時間ひーこら、ひーこら走っても10kmしか進んでいません。
向かい風が強く、前に進んでくれないのです。
休憩を取って一息入れ、止むことのない強風とのつきあい方を考えました。強風には一定のパターンがあります。「前に進める強風。」「前に進みにくい強風。」「前に進めない強風。」の3つです。
「前に進めない強風」の時にいくら力を入れて漕いでも無駄に体力を使うだけ。その時は体を小さく丸めて強風が通り過ぎるのを待ちます。
「前に進める強風。」の時に、「今だ~。」と、力を入れて漕ぐのです。

サロベツ原野横の県道
なんとここら辺では地平線が望めます。










サロベツ原野の横を通り過ぎる頃から、強風が向かい風から横風に変わりました。時速20kmくらい出せる時もあり、少し距離を稼げるようになりました。

ちょうど昼の12時に天塩に到着。体はヘロヘロ。お腹はペコペコ。
稚内から天塩まで約70km。その間、お店はありません。
手持ちのおやつを食べ尽くしていたので、まず、コンビニでおやつを買い、次に道の駅で塩ラーメンを食べました。
冷えた体に、熱いラーメンは、とっても、とっても美味しかった~。

体力回復!!一路、羽幌へ!!
風は相変わらず強風。たまに向かい風に変わり気まぐれでしたが、横風が多く少し距離が延びます。
休憩は、短い時間で回数を多く取るようにし、体力切れを避けました。
体力が切れて動けなくなると、”行き倒れの旅人”になってしまいます。
ちょっと、カッコいい気もしますが、「困る、困る。羽幌まで行かないと・・。」

2kmにも及ぶ風力発電機
海に向かって平行に風力発電機が延々と続いています。どの発電機も強力な風を受けてビンビン元気に回っていました。

寒い中、強風に吹かれると自然と鼻水が出ます。
午前中は、自転車を止めティッシュでチ~ンとしていたのですが、時間がもったいない。
そこで、昼からは自転車掃除用に持って来ていた布を、手袋の止めバンドに挟み走行したまま鼻水を拭くようにしました。しかし、強風での片手運転は危険です。
次に思いついたのが、ティッシュを鼻の穴に入れて鼻水をストップすることです。鼻血の時にするのと同じ方法です。これはグッドアイデアでした。いちいち自転車を止めることなく、強風の中、片手運転でフラフラすることもなく鼻水が出ないのですから。

羽幌まで残り20kmくらいになると丘陵地帯が続き、これが結構きつい。
2つ3つと丘を越えた後、「もう無理。」と自転車を降りて押して丘を上っていると急に車が横に止まり、
「大丈夫ですか?」と助手席の人が窓を開けて声をかけてくれたのです。
「ええ、大丈夫です。」私はニコッと顔を向けると、その人はびっくりした顔をしました。
そう、私は両方の鼻の穴にティッシュを詰めているのです。それも、取り出し易いように鼻から長めにティッシュを出しています。
ある意味、大丈夫でない人になっていました。

それからは、鼻血ティッシュを外し、また自動車が止まっても困るので、きつい上りもひーひー言いながら自転車を漕ぎ続けたのでした。

羽幌まであと10km
だらだらと丘陵地帯が続きます。最後の力をふり絞ってペダルを踏みこみました。



そんなこんなで自転車を漕ぎ続けた為、羽幌遊歩ユースホステルには夕方6時前に到着することができました。
羽幌遊歩ユースホステルのペアレント(経営者)さんは、
「今日は強風注意報が出て、(焼尻島行き)フェリーも欠航でした。自転車だと今日中に到着できないじゃないかと、家内と心配していたんです。」
ええ、ええ。私も夕食の時間の6時に間に合うなんて夢のようです。思い起こせば苦難の連続でした。ようやった!ようやった!

羽幌遊歩ユースホステルは、お勧めです。
建物はきれい、料理は美味しい、奥さん美人です。また夜9時から茶話会があり、お茶とお菓子を出してくれます。
初めぎこちなく話していたメンバーですが、そこは関西人の悲しさ、話は落とさないと気が済まない。
すっかり、はしゃいでしまいました。でも、10時を回った頃から猛烈に眠くなり、一人途中退席。
湿布をぺたぺた足に貼り、吸い込まれるように寝たのでした。
おやすみなさい。

2009年5月4日
「痛てて。痛てて。」
朝起きた時には筋肉痛。やはり、昨日の強風の中の130kmは体に堪えています。
朝から、山盛りごはん3杯も食べてしまいました。朝8時半に羽幌遊歩ユースホステルを出発。本日の走行予定は約100kmです。旭川の約30km手前(西)にある深川市を目指します。
羽幌から日本海へ
風は強く、海は白波が立っています。こりゃ~、今日もハードなサイクリングになりそう。






でも、でも、走っている内に、風は徐々に収まり天気も晴れてきました。
留萌までは、日本海沿いを約50kmです。道は平たん、路肩もまあまあ広い。これは、ぶっ飛ばせます。
時速30kmで路肩を走り、疲れれば歩道に上がってぶらぶら走る。を繰り返します。快適!快適!

(重要文化財)
旧花田家番屋










ニシン漁が栄えていた時に建てられた番屋。当時の繁栄を物語ります。
あれからニシンはどこへ行ったやら。おんぼろろ。おんぼろぼろろ~。

留萌に向かう道

遠くに見える雪を抱いた山の麓が留萌のはず。進むごとに近づいてくるので進んでいる実感がわきます。





昼前に留萌に到着!!
「お昼御飯は何にするかな?」と思案していると、回転ずしのお店を発見。
入ってみると、一皿200円や300円もします。
ネタは新鮮で美味しかったんですけどね。なんか知らんけど3皿でお腹いっぱいになりました。
それでも値段700円。
いや、決して高くて3皿しか頼まなかったのではなくてですね、自転車に乗っていると昼はあまり食べれなくてですね・・・。決してケチというわけではなくてですね・・・。
(しばらく弁解が続きますので、カットします。)

留萌から日本海にお別れして、内陸に入ります。
道に並走してJRが走っており、ここはNHKの朝の連続ドラマ「すずらん」の舞台になった駅があり、道の途中で看板も出ていました。この道は峠越えの道で、旅行の計画時には一番の難所と考えていました。
しかし、とっても走りやす道で、時速30km出てしまうほどです。
峠付近では、結構きつい上りになりますが、昨日の強風の平地を走るより楽です。
その道は、森に囲まれ、野鳥が鳴き、感じの良い道。
冬には雪が多いみたいで日陰には残雪が沢山残っています。


石狩平野から留萌方面を望む
田園地帯が広がる石狩平野。振り返って留萌方面を撮りました。







秩父別町(石狩平野)の田園風景。
広~い畑に興奮。










峠を越えると、広~い石狩平野が広がります。
道は平たん、歩道もあり安全に走れます。
海沿いの道も良いですが、田園風景の北海道も素敵です。

宿泊予定の、深川市にあるイルムの丘ユースホステルには4時過ぎに到着。誰もまだ来ていません。
ゆっくりお風呂の入り、たまった洗濯をすませ、夕食まで寝て待つことにしました。

夕食時にすごい人を発見。
なんと歩いて日本を縦断しているのです。年の頃は60歳前。静岡県で会社員をされています。本土最南端の鹿児島県佐多岬を出発したのが21年前。休みを利用して、少しずつ継ぎ足し継ぎ足しで、徒歩で北上し、途中見たい所はゆっくり見て、登りたい山があれば登る、といった旅行をされています。日本縦断だけを目的にしているのなら、もうとっくに終わっているそうです。一日の歩行距離は40km前後。歩数は6万歩以上になるそうです。気取らず、自慢せず、淡々と話をされるその人に私は圧倒されました。日本にはすごい人がいているんですね~。

2009年5月5日
朝5時前に目が覚め、朝の散歩に出かけました。
沢山の野鳥がいました。空気も美味しい。
犬の散歩をさせている人にあいさつするのも気持ちが良いものです。


イルムの丘ユースホステルに続く道。
良いでしょう?散歩していて気持ち良くなります。




本日の予定は、国道12号線を南下して札幌を目指します。距離は約100kmあります。
稚内から南下するに従って、春満開の風景です。天気は晴れ、すがすがしい気温。友達にメールすると大阪は雨だとか?申し訳ありませんが北海道は快晴です。

道は平たんで走りやすく、路肩が3mくらい取ってある所もあり、且つ歩道も広いので安全、快適に走ることができます。


留萌からよく見かけた花で、エゾエンコグサと言うそうです。とっても可愛く綺麗な花です。





国道12号線は、桜が満開。
走っていてとても花がきれいに咲いているので楽しめました。
個人宅の花壇も、北海道の家には柵がないので、道路から良く見えます。
(のぞきではなく自然に見えます。いや、むしろ見てもらおうと花を植えているようです。)

今回の旅行で自転車に会うことは非常に少なく、会えば、手を振りあいさつします。そう、自転車小僧は仲が良いのです。
しかし、北の都「札幌」に近づくにつれ、そうでもないヤカラに会ってしまった。
広い歩道に関わらず、私の体すれすれを、猛スピードで追い越して行ったのです。私はヒヤッとして、一拍おいてカチンときました。
地元のヤツのようで、走行中は危険とされるヘッドホンステレオを聞きながら走っています。
私と同じロードレーサタイプの自転車に、荷物は無し。私は、約6キロのリュックを背負い、既に60km以上を走っていますが、
「抜き返したろ。」
と、歩道から路肩におり、スピードを上げ敵を射程距離内に置きました。
そのまま、3kmくらい追尾。そのくらいから、敵のスピードが鈍りだしました。
「コヤツ、へばりよったな。」と、判断した私は一気に抜いたのです。
しかし、そこからがしんどかった。
後ろを振り返り、振り返り走るわけにもいかず、抜いたスピードのまま、約5km走りました。
江別の手前で抜かれたアナタ。そう、アナタです。おじさんは正直に申し上げます。
「とっても、無理していました。」

札幌市内に入った頃にはヘロヘロになり、後ろから来たママチャリの女の子にあっさり抜かれる程。
札幌国際ユースホステルに着いた頃には、ほぼダウンです。
せっかくの、途中の素敵な風景も、写真に撮れませんでした。
「あほだした。わてが、あほだした。」

2009年5月6日
せっかくの札幌なので、ゆっくりしようと思い2連泊しました。
毎年来ているので行きたいところは決まっています。
まずは、豊平川の河川敷をサイクリング・ロードを南下(上流向き)して真駒内公園まで行きます。
このサイクリングロードがすごい。豊平川の両岸にサイクリング・ロードがありますが、川の上流に向かって左側のサイクリング・ロードは特に広く、自転車用、歩行者用と2つの道にわかれている場所もあるくらいです。サイクリング・ロードに車線が引かれており安全にすれ違う事ができます。

真駒内公園
豊平川のサイクリング・ロードの南端に、真駒内公園があります。自然たっぷりの公園です。ジョギングや、ウォーキングができるように公園内は広い道路が通っており自転車も走る事ができます。トイレも数か所設置されています。白樺林など木々がいっぱい。この時は桜が満開でした。

真駒内公園の北の端に「豊平川さけ科学館」があります。無料です。
鱒(マス)関係の水族館で、1mを超すイトウがゆったりと泳いでいるのは、圧倒されます。
北海道大学キャンパス
真駒内公園から北海道大学へは、再度、豊平川のサイクリング・ロードを走っていきます。
豊平川は札幌市の中心地近くを流れているので、信号の多い一般道を走るよりもサイクリング・ロードを走っていく方がはるかに早く、安全に行くことができます。
北海道大学はサイクリングOKで、道も広く走り易いのでキャンパス内のサイクリングだけでも楽しめます。カメラを持った観光客、ウヨウヨ。
ポプラ並木を見た後、北海道大学総合博物館(無料)を見学です。明治の北海道開拓の歴史は、北海道大学の歴史でもあるのです。
桜の下で学生達がジンギスカンで花見をしていました。キャンパス内でバーベキューができるなんて、やっぱ北海道大学は広い。

2009年5月7日
本日で、今回の旅行も最終日です。札幌から新千歳空港まで行きます。距離は約40kmです。以前から走りたくてしようがなかった白石サイクリング・ロードを利用します。
白石サイクリング・ロード(白石区)
白樺が素敵でしょう?住宅街の中をサイクリング・ロードが続きます。自転車だけでなくウォーキングしている人も沢山います。
この道のすごいのは、川には専用の橋、交差する道は専用トンネルがあり、1か所信号がある以外は、道路や川で遮断されずにずっと走り続ける事が出来ます。
廃線を利用しているからだそうで、札幌市内の中心地から、北広島市まで一本のサイクリング・ロードでつながっています。

白石サイクリング・ロード

良いでしょ?森の中をサイクリング・ロードが続いています。自然の懐に自転車で飛び込んでいる気分。「いや~。サイクリング、さいこう~。」




北広島まで6.2km

森の中を走ると標識がありました。このサイクリング・ロードがもっと続けば良いのに。いつまでも走りたい気分です。

北広島サイクリングロードマップ

札幌市白石区から北広島に入ると「北広島サイクリングロード」と名称が変わります。
途中にはトイレや休憩所もあります。JR北広島駅前でサイクリング・ロードは終了です。このまま、新千歳空港までサイクリング・ロードが続けばどんなに楽しいかと思いました。

北広島市からは一般の国道になり、少し走り辛い気もしましたが、新千歳までは歩道もあり安全の為に歩道を走りました。

稚内空港から、新千歳空港までの走行距離は、札幌市内をうろうろした距離も含めて約450kmでした。いや~、楽しかった、楽しかった。